犬は耳に息を吹きかけるとブルブルする 『犬は耳に息を吹きかけるとブルブルする』 シャワー後のトイプードルの耳に、タレントがそっと息を吹きかける。だが、犬は一向に身震いする様子を見せず、スタジオに明るい笑いが弾けた。 この流れなら、ブルブルしない方が『おいしい』というやつだ。賢い犬だ……いや、そこまで計算してないか。「かわいー」 隣でソファの背もたれに全身を預けている彼が、溶けそうな声を出した。夕食後で夢うつつなのか、普段の快活さはどこへやら、口調も表情もふにゃふにゃに緩んでいる。「そうだね」 私はごく自然な動作を装って、彼との距離を詰めた。 無防備に晒された彼の耳。その薄い縁に狙いを定め、至近距離から「ふーっ」と熱い息を吹きかける。「ひぃっ!?」 弾かれたように、彼の肩が大きく跳ねた。 脊髄を電流が走り抜けたかのように全身をぶるりと震わせたと思えば、彼は慌てて片手で耳を塞ぎ、ソファの隅へと逃げ出した。「本当だ。ブルブルした」「おれは犬じゃないんだけど!?」 👏パチパチ 2026.1.25(Sun)
犬は耳に息を吹きかけるとブルブルする
『犬は耳に息を吹きかけるとブルブルする』
シャワー後のトイプードルの耳に、タレントがそっと息を吹きかける。だが、犬は一向に身震いする様子を見せず、スタジオに明るい笑いが弾けた。
この流れなら、ブルブルしない方が『おいしい』というやつだ。賢い犬だ……いや、そこまで計算してないか。
「かわいー」
隣でソファの背もたれに全身を預けている彼が、溶けそうな声を出した。夕食後で夢うつつなのか、普段の快活さはどこへやら、口調も表情もふにゃふにゃに緩んでいる。
「そうだね」
私はごく自然な動作を装って、彼との距離を詰めた。
無防備に晒された彼の耳。その薄い縁に狙いを定め、至近距離から「ふーっ」と熱い息を吹きかける。
「ひぃっ!?」
弾かれたように、彼の肩が大きく跳ねた。
脊髄を電流が走り抜けたかのように全身をぶるりと震わせたと思えば、彼は慌てて片手で耳を塞ぎ、ソファの隅へと逃げ出した。
「本当だ。ブルブルした」
「おれは犬じゃないんだけど!?」